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GPT-6 Astraは「購買」を どこまで予測できるのか?

GPT-6 Astraは「購買」を どこまで予測できるのか?

ゆーじ
2026-10-09

この記事のポイント

2026年9月に発表されたGPT-6 Astraは、表形式の行動データから「この人は購入しそうか」をどこまで見分けられるのでしょうか。本記事では、購買データ(Sakar & Kastro, 2018)を用いて2つの従来法とGPT-6 Astraで見分けた検証を紹介します。結果、764件の検証では、GPT-6 Astra(Ultra)の正解率は84.9%、購入しそうな人を上位に並べる力を表すROC-AUCは0.900でした。また、学習させたXGBoost(従来法)では正解率85.2%、ROC-AUC 0.928と比較的近いものでした。では、GPT-6 Astraは従来法と同等に扱っていいのでしょうか。

なぜ購入を予測するの?

ECサイト(マーケティング)では、すべての訪問者に同じ案内を出すよりも、「迷っている人」や「購入に近い人」を見分けられると便利だからです。

今回は、公開されているオンラインショップのデータを使い、見たページ数、サイトにいた時間、すぐ離脱した割合、訪問した月、初めての訪問かどうかなど、17個の情報から「購入した/しなかった」を予測します。注目するのは、表の数値を読むGPT-6 Astraが、購入履歴で学習する従来のモデルにどこまで近づけるかです。

実際のデータを見てみる

以下は、今回の解析に使った購買データから抜粋した4件です。人を特定する情報は含まれておらず、どれくらい商品を見たか、いつ訪問したか、実際に購入したかを扱っています。

データの例 見た商品ページ 商品を見ていた時間 訪問した月 週末の訪問 訪問の種類 実際に購入した?
例 1 1ページ 0秒 2月 いいえ 再訪問 いいえ
例 2 10ページ 約10分 2月 はい 再訪問 いいえ
例 3 27ページ 約13分 2月 いいえ 再訪問 はい
例 4 36ページ 約35分 2月 いいえ 再訪問 はい

表の数値を、読みやすい単位にして表示しています。実際のモデルは、こうした項目に加えて、離脱率やページの種類など17個の情報をまとめて見て、購入確率を出します。表に出ている1つの項目だけで購入が決まるわけではありません。

どうやって比べた?

公平に比べるため、購入した人と購入しなかった人を同じ数だけ用意しました。重複した行を取り除いたあと、各1,908件、合計3,816件を分析に使っています。このうち8割を従来法の学習データとし、残り2割の764件を検証用にしました。

今回の検証

  • 3,816件のサイト訪問データを分析
  • 購入を予測するための情報は17項目
  • 学習には使わない764件で答え合わせ
  • 答え合わせ用データでは、購入した人としなかった人を同じ数にそろえた

比べた方法

  • データを整える:数字の大きさをそろえ、月・ブラウザなどの情報をモデルが読める形にする
  • 従来法で予測:ロジスティック回帰とXGBoostに、過去の購入パターンを学ばせる
  • GPT-6 Astraで予測:同じ情報を渡し、購入しそうな度合いを判断してもらう

評価は、単純な正解率に加えて「購入しそうな人を上位に並べられたか」も見ます。後者を表すのがROC-AUCです。1に近いほど、購入する人としない人をうまく分けられます。

予測に使った17項目

購入したかどうか(答え)以外の、次の17項目を予測に使いました。

  • 管理用ページの閲覧数:ログイン・会員情報など、管理に関するページを何ページ見たか。
  • 管理用ページの滞在時間:管理用ページを見ていた合計時間。
  • 案内ページの閲覧数:会社紹介やお知らせなど、商品以外の案内ページを見た数。
  • 案内ページの滞在時間:案内ページを見ていた合計時間。
  • 商品ページの閲覧数:商品に関するページを何ページ見たか。
  • 商品ページの滞在時間:商品ページを見ていた合計時間。
  • 直帰率:最初の1ページだけ見て離れた訪問の割合。
  • 離脱率:そのページを最後にサイトを離れた割合。
  • ページ価値:過去の購買行動から計算された、そのページの購入への貢献度。
  • 特別な日の近さ:バレンタインなどの特別な日までの近さを表す値。
  • 訪問した月:サイトを訪問した月。
  • 利用OS:訪問に使った端末の基本ソフトの区分。
  • 利用ブラウザ:訪問に使ったWebブラウザの区分。
  • 地域:アクセスした地域の区分。
  • 流入元の種類:広告・検索など、サイトへ来た経路の区分。
  • 訪問者の種類:初めての訪問か、再訪問かなどの区分。
  • 週末かどうか:訪問日が週末だったかどうか。

解析方法(同じ行動データを使っても、予測を出すまでの流れは異なる)

共通の入力:訪問ごとの行動データ17項目

従来法:Logistic Regression / XGBoost

1 過去の3,052件
購入した/しなかったという正解付きデータ

↓

2 購入パターンを学習
このデータ専用の予測ルールを作る

↓

学習に用いてない764件から
購入確率を予測

LLM:GPT-6 Astra

1 764件を1件ずつデータを読む
今回の実験では追加の学習はしない

↓

2 数値や条件をもとに推論
購入しそうな度合いを判断する

↓

購入確率を予測

今回わかったこと

今回の検証では、GPT-6 Astra(Ultra)は正解率84.9%、ROC-AUC 0.900を記録した。

また、データを学習させたLogistic Regression / XGBoostの正解率は 81.5% / 85.2%、ROC-AUCは 0.899 / 0.928だったのでXGBoostが最も高い結果でした。ただし、正解率の差は0.3ポイント。一方、購入しそうな人を順番に並べる力の差はROC-AUCで0.028でした。

今回の比較結果

予測の方法 ROC-AUC 正解率 適合率
(Precision)
再現率
(Recall)
F1
Logistic Regression 0.899 81.5% 0.834 0.788 0.810
XGBoost 0.928 85.2% 0.853 0.851 0.852
GPT-6 Astra(Ultra) 0.900 84.9% 0.850 0.848 0.849

補足:指標の見方

ROC-AUC:実際に購入した人を、購入しなかった人より上位に並べる力を表します。

正解率:購入した/しなかったの予測が、全体でどれだけ当たったかを表します。

適合率(参考値):「購入する」と予測した人のうち、実際に購入した人の割合です。

再現率(参考値):実際に購入した人のうち、「購入する」と予測できた人の割合です。

F1(参考値):適合率と再現率をまとめた指標(調和平均)で、誤った購入予測と購入者の見逃しの両方を評価します。

気をつけたいこと

今回の数値は「GPT-6 Astraが従来法に近い精度を出した」という1回の観測であって、どちらが常に優れているかを示すものではない。

従来の機械学習は、正解付きの学習データを用意できれば、同じ条件で何度も学び直せます。ただし、学習データが少ないと購入につながるパターンを十分に学べず、予測精度が落ちる可能性があります。そのため、十分な量の正解付きデータを集める手間も考慮する必要があります。対してGPT-6 Astraは、学習データがなくても表や説明文を読んで判断できる可能性がある一方、会話文脈や生成の揺れによって結果が変わり得えます。

同じ「予測」でも、仕組みは違う

  • 従来の機械学習:3,052件の正解付きデータから、このサイトの購入パターンを学んだ専用モデルで予測します。
  • GPT-6 Astra:今回の購入履歴を追加学習せず、各行の17項目を読み、文章理解・推論の能力で購入確率を判断します。

GPT-6 Astraは従来法と同等に扱っていいのか

今回の検証では、GPT-6 Astraは従来法に近い予測精度を示したが、そのまま同等の予測モデルとして扱えるとまではいえない。

GPT-6 Astraは購入を予測できる可能性が見られましたが、実際、GPT-6 AstraはXGBoostよりも正解率は0.3ポイント低く、ROC-AUCでは0.028低くなりました。購入した/しなかったを当てる精度は近くても、購入しそうな人を上位に並べる力には差がありました。

しかも、GPT-6 Astraの予測には「会話文脈や生成の揺れ」があります。従来法の代替として使えるかは、同じ条件で繰り返したときの結果の安定性を確認して「再現性」を十分に確認する必要があると考えられます。

参考リンク

Sakar, C. & Kastro, Y. (2018) 

投稿日2026年10月09日

カテゴリーTech Blog

タグ 機械学習、生成AI

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